お近年賃貸物件を契約する際に保証会社への加入が必要な物件が多くなっておりますがその中で保証会社に加入しているのにもかかわらず、保証人を求められるケースがございます。
今回はどうして保証会社に加入するのに保証人を求められるかについて解説していきます。
保証会社とは
そもそも保証会社とはどんな会社なのか簡単にご説明します。
保証会社とは主に契約者が家賃を滞納した際に代わりに家主に滞納した家賃を支払ってくれる会社です。
当初は保証人を事情により付けることができないお客様の為にと始まった会社になりますがFAXやウェブサイトの入力ひとつですぐに滞納している家賃を振り込んでくれるので家主としても便利かつ安心なため、最近では保証人を付けるより保証会社を付けてほしいと仰る家主も多く、都心部ではほぼ全ての物件が加入必須となっております。
保証人とは
次に保証人についてご説明します。
保証人にはどんな責任があるかというと、契約者が家主に対して負う責任と同等の責任を負います。
ですので、当然契約者が家賃を滞納してしまった場合は家賃を代わりに支払わなければなりません。
ちなみに賃貸においての保証人とは連帯保証人のことを指す場合が多いです。
連帯保証人と保証人の違いを簡潔にご説明させていただくと「抗弁権が有るか無いか」で、保証人には抗弁権があり、連帯保証人には抗弁権がありません。
例えばの話ですが家主が滞納している家賃を代わりに支払ってほしいと請求した場合にすぐに支払わなければならないのが連帯保証人で、支払いを請求されても先に本人に請求してほしいと言えるのが保証人です。
なぜ保証人を求められるのか
ではなぜ保証会社に加入するのに保証人を求められるケースがあるのかというと、大きく分けて3つの理由がございます。
1つ目の理由:保証会社の倒産のリスク
保証会社は会社ですので当然倒産のリスクもございます。
実際全盛期には全国に300社近くの保証会社があると言われていましたが経営不振などでの事業停止が相次ぎ、現在(2023年7月)国土交通省の登録事業者数で97社となっています。
もし倒産してしまった場合に別で保証人を付けていない場合は契約者が家賃を滞納した場合代わりに請求する先がありません。
2つ目の理由:家賃以外の債務も保証してくれる
最近では保証の範囲を広げている会社もございますが、保証会社というのは基本的に「家賃」を保証してくれる会社にすぎません。
そのため保証会社の保証範囲外の請求に関して保証会社は何も保証してくれません。
よくある事例は下記ののとおりです。
・短期解約の違約金
・退去時の原状回復費
・火災保険に未加入時の火災での損害賠償請求
・夜逃げ等による残置物の撤去
・入居者の死亡による清掃費や損害賠償などです。
3つ目の理由:金銭トラブル以外のトラブルが発生した場合のため
よくある事例は下記のとおりです。
・近隣住民とのトラブル
・騒音問題
・契約外の共用部の使用(契約以外の駐輪場の使用等)
上記トラブルに家主は保証会社へ相談しても何も対応してもらえません。
またそのようなトラブルを起こされると家主はその借主との賃貸契約を解除したいと考えることもあるでしょうが借主の権利は借地借家法という法律によって手厚く保護されているため、家主から一方的に契約の解除が出来ません。
そこで保証人を設定することによって、保証人が直接契約を解除することはできませんが、全ての債務を保証しなければいけない立場の保証人はトラブル解決のために協力的になっていただけることも多いです。
主に上記の3つの理由で保証会社だけでなく保証人を要求される家主もいます。
まとめ
今回は保証会社に加入した上で保証人を求められる理由をご説明させていただきましたが、年々保証人必須の割合が減っているので、いつかは保証人無しですべての物件を契約できる時代が訪れるかもしれません。
ちなみに保証会社が普及していない時代は家賃を滞納した場合の担保金として敷金を2、3ヶ月分初期費用として請求されていた為、お部屋を借りる際の費用は高額になるケースが多かったですが、保証会社の普及により敷金を預かる家主も次第に減り、その分の初期費用も以前より安くなりました。
そのためお部屋を借りる側としても契約がしやすくなっていったという背景もあります。