マンションの上下階の騒音を徹底検証!
よくお客様から、「上下階の騒音はどれぐらい聞こえるの?」とご質問いただくことがあります。
そこで今回は、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の3つのタイプのマンションの上下階で、どれぐらい騒音が聞こえるのか調べてきました!
↓動画でのご紹介はこちら!
検証方法としては、上下階に分かれて上階から様々な音を出してもらい、下の会で騒音計を使って計測、感想と共に騒音の度合いを伝えるという流れで進めていきます。
上の階で出してもらう音は、
・歩く→(およそ50~55db)
・マットを敷いた状態で歩く→(50db弱)
・ボールを落とす→(50~60db強)
・掃除機をかける→(70~80db)
・携帯電話の着信音(ボリューム最大)→(50~70db)
・大きな声→(70~75db弱)
・収納の開け閉め(50~70db)
の7つです。
ちなみに今回検証に使用する物件は、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造どれも2023年に建てられた新築物件です。
それでは早速検証していきましょう。
まずは木造から。
通常のお部屋内の音は、だいたい39~41dbほど。 喋り声は50~70dbほどです。
それでは上の階で歩いてもらいましょう。
トコトコトコ…
騒音計は最大でも45dbほど。
思ったより反応が小さいですが、実際の体感としては低い音がボン、ボンと響いてくるのを感じました。振動が伝わりやすいのでしょうか。
続いて、マットを敷いて歩いてもらいましょう。
マットを敷けば振動や音も多少吸収されそうですが、果たして…
上の階ではかなり音が軽減されているように感じましたが、下の階に聞こえる音は、マットを敷いてもあまり変化はありませんでした。
マットで音の反響は防げても振動はダイレクトに伝わってしまうということなのでしょうか…
こちらも最大値は45dbほど。数値上でもほぼ変化はありません。
次は物を落とした時のイメージとして、ゴムボールを落としてみます。
最大値は42.8db。先程の足音に比べると小さめですね。
実際、体感としても軽めの音がポンポン…と聞こえてきました。
とは言っても、実際に生活している中でならそこまで気になるほどの音でもないといった印象です。
次は掃除機の音で検証していきます。
上の階ではかなり大きな音がするモーターですが、下の階ではほとんどと言って良いほど聞こえません。 その一方、掃除機のヘッドが壁に当たる音がよく聞こえますし、ローラーと床が擦れる音なども、下の階でも結構音が聞こえます。
次は携帯電話の着信音を音量MAXで鳴らしてもらいます。
お馴染みの、テッテッテッテレレンテンテンテンテンテンテン♪という着信音。音量MAXで鳴らしているので、かなりの音です。
が!
騒音計、全然反応せず!下の階では一切着信音が聞こえませんでした。
耳を澄ませても全く聞こえなかったので、
「毎朝、上の階のアラーム音に悩まされる」みたいなことはなさそうです。
続いて、大きめの声で喋ってもらいます。
ハッハッハッと、なぜか悪役のような豪快な笑い声を披露する弊社スタッフ・細川。
この少し恥じらいを感じさせる高笑いは、果たして下の階にも聞こえてくるのでしょうか。
ハッハッハッハッハッ…
ちゃんと聞こえてきました。
騒音計もわずかながらですがちゃんと反応しています。
上から発せられているのが笑い声だと知らなかった中西は、「何か言っているのは聞こえたが何を言っているかは分からない」とのこと。
つまり、会話の内容までは分からないとはいえ、声自体は通ってくるということです。夜中に騒いだり大きな声で電話したりするのはやめておきましょう。
最後に、収納の開け閉めで検証していきます。
ガラガラ、ガラガラ…
クローゼットの開閉も結構音がするんですね。
下の階での体感としては、ボールを落とした時と同じぐらいの感覚でした。
若干何か低い音が響いているのが感じ取れる、というようなレベルなので普通に生活している中ではそこまで気にならないかもしれません。
木造での検証はこれで以上になります。
では続いて鉄骨造のマンションで検証をしていきたいと思います。
早速先程と同じ流れで、音を出していきます。
ドン、ドン、ドンと歩みを進める細川。シュールな画ですね…
騒音計はそれほど反応しませんでしたが、最大値は42dbと少し大きめ。
木造に比べて鉄骨造の方が音は軽減されると予想していましたが、体感としてはあまり変わりません。
若干、響き方が抑えられている感じはしますが、ほぼ同じでしょう。
次はマットを敷いてその上を歩いてもらいます。
木造の時はマットの有無であまり音が変わらなかったのですが、今回はマットを敷いたことで音が軽減されたように感じました。
が、騒音計の数値を見るとマットを敷いた方が圧倒的に音が大きいです。
ただの思い込みか、音の質が変わったのか…なぜ大きい音が小さく聞こえたのでしょうか……。
続いてはボールを落としてもらいます。
聞こえ方は木造の時とあまり変わりませんでした。
普段の生活の中ではあまり気にならなさそうな音量ではありますが、耳を澄ませるとポン、ポン、と音が聞こえてきます。
続いては掃除機をかけてもらいます。
やはりモーター音はかなりの音ですが、下の階にはそれほど響いてきません。
聞こえる音の大きさは木造の時とあまり変わらないイメージです。
ただ、木造の方が、もっと振動がダイレクトに伝わってきている感じがありました。壁にヘッドが当たった時のゴン、ゴンという音は木造に比べると少し抑えられているように感じます。
日常生活の中でも上から音がするなと感じるレベルなので、掃除機をかける時、特に壁際には注意しましょう。
続いては携帯の着信音を音量MAXで流してみましょう。
やはり木造と同じく、携帯の音は下の階には全く聞こえません。
上の階ではかなりの音量で流れているのに、不思議ですね…
次は大きな声を出してもらいます。
ワッハッハという笑い声が聞こえてきました。
こちらも先程と同じく笑っていたので聞き取れましたが、もし喋り声であれば会話の内容まではわからないだろうな、というぐらいの印象です。
「何か喋っているけど、何を言っているかはわからない」会話って、結構気になりますよね。部屋で1人静かに過ごしている時に声が聞こえてくるとかなり気が散ってしまいます。
筆者も以前、読書中に隣に住んでいた外国人カップルの喧嘩らしき声が聞こえてきて、気にしまいと思っても耳には入ってくるので集中が途切れてしまうということがよくありました。
鉄骨造の検証最後は収納扉の開閉です。
収納扉の開閉の音は、ほぼ全くと言って良いほど音が伝わってきませんでした。耳をよく澄ませたら少し小さな音が聞こえたぐらいなので、木造のお部屋に比べるとかなり収納扉の音が抑えられています。
鉄骨造の検証は以上になります。
続いて鉄筋コンクリート造のマンションで検証していきましょう。
鉄筋コンクリート造のマンションも先程の木造・鉄骨造の時と同じ順番で検証していきます。
まずは歩く音から。
コンクリート造は全く音が聞こえないのではないかと予想していましたが、少し聞こえます。
ただ、木造や鉄骨造と比べれば音は半分ぐらいに感じますし、騒音計の反応も少なめです。
次はマットを敷いて歩いてもらいましょう。
マットの有無ではあまり音が変わらない印象でした。
普段の生活の中では時に気にならないぐらいではありますが、夜寝る前など静かな時に聞こえてくると気になってしまうかもしれません。
次は物を落とした時のイメージとしてゴムボールを落としてみます。
ボールが落ちる音はほぼ聞こえませんでした。
小さな音が数回聞こえた気がしましたが、日常生活の中ではほぼ気づかないレベルかと思います。
続いて、掃除機をかけてもらいます。
掃除機の音も、木造や鉄骨造に比べるとかなり小さく感じます。ヘッドが壁に当たる音もあまり聞こえません。
しかし、木造・鉄骨造ではほぼ聞こえなかったモーター音が強く聞こえるようになりました。
鉄筋コンクリート造のお部屋は他の部屋よりも音が反響しやすく、これがモーター音が大きく聞こえた原因だと考えられます。
次は携帯電話の着信音を鳴らしてみます。
音が聞こえなさすぎて、まだ上階で携帯を鳴らしているのに中西が感想を伝え始めてしまいました。
結局、携帯電話の音はどの構造のマンションでも聞こえないという結果に終わりました。
次は大きな声で喋ってもらいます。
ワッハッハという笑い声が聞こえてきました。
というかなぜワッハッハなのでしょうか…。
聞こえ具合は鉄骨造と同じぐらいでしょうか。
数値もほぼ同じです。
それでは最後に収納扉の開閉をしてもらいましょう。
収納扉の開閉も、ほぼ聞こえませんでした。
数回、「ガラッ」という音はしましたが、これも日常生活においてはほぼ気にならないような音でしょう。
以上、それぞれ木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造のマンションで上下階の騒音の度合いを調べてみました。
結果として、鉄筋コンクリート造>鉄骨造>木造の順番で防音性能が優れていることがわかりました。しかし実際に検証してみた感想としては、予想していたよりも防音性能の差が少ないことに驚きました。
また、木造・鉄骨造ではあまり聞こえなかったモーター音が鉄筋コンクリート造では大きく聞こえたり、鉄骨造でのみマットの防音性が発揮されたりと、構造や物件によって特徴が出ることもあるようです。
今回は全て2023年に建築された新築物件で検証しましたが、同じ築年数、あるいは同じ構造であったとしてもマンションのつくりによって音の聞こえ方が変わったりすることもありますので、あくまで参考程度に考えていただければと思います。
近隣トラブルの中で最も多く発生しているのが騒音問題だと言われています。
深夜帯に騒いでいる、子供が走り回っている、テレビの音量、楽器の練習、車・バイクの出し入れ…など、その内容も多岐にわたり、音を出している本人は無自覚な場合もあります。
つまり、一口に「騒音問題」といってもその当事者が置かれている環境によって原因も解決方法も全く変わってくるのです。
特に、対策を間違えてしまうと関係性が悪化し、より大きなトラブルに発展してしまうことがあります。
相手の騒音がひどい時、壁や床、天井などを叩いて訴える方がいますが、これは相手を逆上させてしまい、より大きな音で応戦してきたり、嫌がらせをしてきたりするなどの行動に移る危険性があるのでやめておきましょう。
また、直接苦情を入れるのも控えた方がいいでしょう。
こちらも先程の理由と同じで、相手を逆上させてしまう危険性があります。
人によっては口論から暴力などに発展する場合もあります。
騒音に悩まされた時はまず手紙等で騒音被害を訴えたり、管理会社や大家さんに相談したりしましょう。
当事者同士での話し合いが求められる場合、第三者に協力を求めましょう。
どうしてもお互い感情的になってしまいますので、管理会社や大家さんに話し合いに同席してもらい、中立的な立場から話し合いをサポートしてもらうことが大切です。
騒音問題を回避するためには、相手を思いやることが大切です。
例えばお子様がいらっしゃる家庭はどうしても大きな物音や声を出したりしますし、部屋の中で暮らしている以上、生活音はどうしても出てしまいます。
過度な騒がしさでない限り、耳栓をしたり、「お互い様」の気持ちでこらえてあげることも大切です。
心理的なストレス、あるいは生まれ持った性質などで感覚が過敏になってしまう方もいます。
近所に音に敏感な方がいる、という前提を知っているか知っていないかでは、普段の対応は全く変わってくるはずです。
引っ越しした後に挨拶に行くなどして、周囲にどういった人が住んでいるのか知っておくこともひとつの手でしょう。
日本初の「騒音が原因の殺人事件」といわれているピアノ騒音殺人事件(1974年)の犯人は音に対して極端に敏感だった上に、精神病質者(いわゆるサイコパス)であったようです。
被害者家族の出す生活音やピアノの音に腹を立て、主婦と8歳、4歳の娘を惨殺したこの犯人は、元々被害者家族に対して「引っ越してきたのに挨拶もしない」と不快感を抱いていたようです。
このように、人となりがわからない人が自分の生活に入り込んでくると不安になったり、不快感を覚えたりすることがあります。
この事件の場合、犯人のパラノイア(偏執症)的な性質がその不安や不快感を加速させてしまい、たまたまいつもより早い時間から弾き始めたピアノがトリガーとなってこのような残虐な事件を引き起こすこととなってしまったのです。
騒音を出す側も受ける側も、お互いに歩み寄ることが良好な関係を築き騒音トラブルを未然に防ぐ大きなポイントです。
相手を知り、妥協できるポイントを考えてみましょう。
また、近年は建築技術の向上により、「防音性能が高くなっている」というイメージが強くなりすぎており、『なぜ静かにできないんだ』と、騒音問題に発展することが増えているようです。
部屋の性能を過信しすぎず、相手のことを思いやり、「お互い様」の気持ちを大切にする。今、私たちに求められているのは心の余裕なのかもしれません…。
まとめ
今回は上下階の騒音を検証していきましたが、いかがでしたでしょうか。
他にも検証してほしい内容や「こんな動画が見たい!」という意見がございましたら弊社YouTubeのコメント欄にどしどし書き込んでくださいませ。