ガスコンロとIHコンロ、結局どっちがいいの?
突然ですが!あなたは今何コンロを使っていますか?
初めての一人暮らしや引っ越しで新居を探す際に、コンロも条件に入れるという方も少なくないと思います。
一般的にIHコンロはガスコンロよりも劣っていると思われがちですが、実際はどうなのでしょうか。
本日はIHコンロとガスコンロ、それぞれのメリット・デメリットをご紹介し、どんな方にIHコンロあるいはガスコンロが向いているのかを解説させていただきたいと思います!
↓動画でのご紹介はこちら!
そもそもIHって何?
「IH」とは、「Induction Heating(電磁誘導加熱)」の略で、内部に配置されたコイルに電気を流して発熱させ、加熱する調理器具です。
IHの技術は1971年にアメリカで発表され、国内では1974年頃から登場。
IHクッキングヒーター(=IHコンロ)としては1998年頃から国内での販売が始まりました。
ガスの種類
ガスには「都市ガス」と「プロパンガス(LPガス)」の2種類が存在します。
都市ガスは、メタンを主成分とする天然ガスから作られており、電気や水道と同じく、地下を走る導管を伝って家庭に届けられます。
一方、プロパンガスはプロパンやブタンを主成分とする液化石油ガスから作られており、「LPガス」という名称自体も液化石油ガスの英語である「Liquefied Petroleum Gas」の略です。
こちらはガス会社の作業員が定期的に契約者の家庭にガスボンベを運ぶことで供給されています。
また、都市ガスはその名が示す通り都市部に広く普及しており、反対にプロパンガスは全国にわたって普及しています。
この2つは原料も熱量も違いますので、お引越しの際は十分に注意が必要です。
IHとガスのメリット・デメリット
では本題に入りまして、IHとガスそれぞれのメリットとデメリットをご紹介していきます。
まずはガスのメリットから解説していきます。
【ガスのメリット】
1.高火力を同時に扱うことができる
2〜3口のガスコンロと魚焼きグリルを同時に、さらに強火で扱うことができます。
煮物を煮込んでいる間に焼き物や湯沸かしをするなど、順番待ちがなく時間短縮にもなるので、ストレスのない効率的なお料理を楽しむことができます。
また、IHと違って常にプレートに設置させておかないといけない、というような縛りがないので、鍋を振っての調理が可能です。
食材に満遍なく味を行き渡らせたり、ほどよい焦げ付きをつけることができたりするので、お料理にこだわりたい方にはおすすめです。
2.停電時にも使える
近年は「光熱費が抑えられる」という点でオール電化が人気ですが、節電を求められる風潮や災害時の停電などの問題から電力一本化を不安視する声も少なくありません。
災害による停電時や計画停電が実施された際も、供給元が違うガスであれば、導管あるいはガスボンベが無事であれば問題なく調理が可能です。
3.調理器具が限定されない
IH対応の調理器具しか使えないIHコンロとは違って、ガスコンロは大抵の調理器具を自由に扱うことができます。
買い直す手間や費用もかからないので、普段から使い慣れた調理器具があるという方にはガスコンロがおすすめです。
4.時間帯で料金が左右されない
基本的に電気料金は昼が少し高く、夜が安めに設定されていることが多いのですが、ガスは都市ガスでもプロパンガスでも時間帯によって料金が左右されることがありません。
5.頑丈
ガスコンロには調理器具を置くための「五徳」という金属製の器具が付いています。
このため、多少乱暴にフライパンを振ったり、鍋を強く置いたりしても滅多に傷がつくことはありません。
続いてガスコンロのデメリットを解説していきます。
【ガスコンロのデメリット】
1.IHと比べて危険性が高い
直接火を使うというガスコンロの特性上、どうしても火災やガス漏れ、燃え移りや火傷などの危険性は高まります。
最近の機種にはSiセンサーという消し忘れを防止する安全装置がついているので安全性も向上してきてはいるのですが、やはりご高齢の方や小さなお子様、ペットなどがご家庭にいらっしゃる場合、十分な注意が必要です。
2.夏場は暑い
やはり火を使うのでどうしてもキッチン内の温度上昇は避けられません。
「冷房器具を使用すればいいじゃない!」という意見もあるかもしれませんが、冷房をつければ電気代がかかってしまいます。
また、ご家庭によってはキッチンがお部屋から独立しているのでエアコンや扇風機の風が届かないということもありますし、システムキッチンでスペースがかなり限られる場合、そもそもエアコンや扇風機自体設置しづらい、ということも少なくありません。
そうなってきますと「暑い夏はキッチンに立つのも億劫」という方もいらっしゃいますし、熱中症や食中毒などの危険性も高まります。
3.お手入れが面倒
天板がフラットで、サッと拭くだけでお掃除ができるIHに比べ、五徳やガス噴出口、バーナーなど凹凸の多いガスコンロはお掃除の手間もかかります。
もちろん各メーカーが趣向を凝らしてこの問題を解決しようと奮闘してはいるのですが、やはりお手入れの面ではIHコンロが圧倒的に楽でしょう。
続きましてIHコンロのメリットをご紹介させていただきます。
【IHコンロのメリット】
1.安全性が高い
IHは直接火を使わず鍋を発熱させるのが特徴です。
このため、火災や火傷、燃え移りの危険性も格段に下がります。
また、当然ですがそもそもガスを使わないのでガス漏れの危険性はゼロになります。
鍋底を感知して加熱を停止するなど消し忘れや立ち消えの心配も少ないのでご高齢の方も安心です。
ただ、もちろんですが全く危険性がないというわけではなく、やはり使用後は高熱を持っていますので、誤って天板に触れることがないよう、注意が必要です。
2.環境にやさしい
IHコンロは火を使わないので二酸化炭素が発生せず、室内の空気がクリーンに保たれます。
人体に有害な窒素酸化物も溜まらず、安全性も高いです。
しかし、IHでも換気扇は使用します。
調理の際に発生する水蒸気や油煙には十分注意が必要です。
「レンジフード」という換気扇は、上昇気流を補うために換気扇自体から風を出して吸い込みやすくしていて、IHと相性が良いといわれています。
3.熱効率が高い
ひと昔前の卓上クッキングヒーターのイメージが強いせいか、IHは火力が弱いと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、IHは熱効率が高く、単純な火力だけを比較するとIHの方が強くなっています。
なので、鍋の種類にもよりますが湯沸かしなどの工程をガスコンロよりも短時間で達成することができるのです。
ただ、弊社の過去動画でもご紹介させていただいたのですが、調理器具によって熱の伝わり方はかなり変わってきます。
IHコンロの実力を引き出すためには、鍋底が平らな鉄製やステンレス製の調理器具を使う必要があります。
このため、都市ガスの基本料金が安かったとしても、正しい調理器具を使うことで相対的にはIHの方がコストを抑えることができるという結果になります。
4.キッチンが暑くならない
IHコンロだと調理器具以外に熱が発散しないので、システムキッチン内の温度に与える影響が少なく、夏場でも気温に左右されない快適なお料理が実現できます。
夏場の蒸し暑いキッチンに嫌気がさした方にはIHがおすすめです。
5.お手入れの手軽さ
お手入れにかかる手間の少なさはIH最大の魅力と言っても過言ではないでしょう。
ガスコンロと違いフラットな形状のIHコンロは、天板をサッと拭くだけでお掃除完了です。
さらに火を使わないので焦げが出にくいことや、鍋ふりができないことで鍋の中の食材や調味料が飛び散りにくく、キッチンの壁面に汚れもつきにくいのでお手入れも手軽になります。
最近のシステムキッチンはシンクやカウンターの凹凸が少ないように設計されたものが多く、IHコンロを含めて布巾1つでキッチン全体のお掃除が完了するという便利な構造になっています。
6.楽な姿勢で火力を調整できる
IHコンロでは液晶画面などに火力が表示されるため、火力を確認するためにいちいち屈んで炎を見ないといけないガスコンロとは違い、楽な姿勢で火力を調節することが可能です。
7.便利な機能が満載
IHコンロは、機種によってはボタン1つで温度を細かく調整して天ぷらをカラッと揚げたり、卵焼きを焦がさずふんわり焼き上げたりしてくれる機能がついているものもあります。
他にもタイマー設定や吹きこぼれ防止機能が付いていて弱火でコトコト煮込んでいる間に少しだけキッチンを離れることができる場合もあります。
続いてIHコンロのデメリットをご紹介します。
1.同時に強火の調理をすることが難しい
ご存知の通り、IHでの調理は電力を使用します。
ご家庭によって電力容量が決められているので、同時に強火での調理は不可能になります。
3口のコンロを同時に使用するのは可能なのですが、コンロを2口以上同時に使ってしまうと、ブレーカーが落ちないよう自動的に火力が制御される仕組みになっています。
2.直感的な調理がしづらい
IHはガスコンロのように実際に火が見えないので、感覚が慣れるまで使いづらいかもしれません。
ただ、最近の機種は赤いランプがつくなど、一目でわかりやすいように工夫がされています。
3.対応の調理器具が必要
IHコンロは磁力線で鍋底を直接加熱するため、鉄や鉄鋳物、ステンレス製などのIH対応の素材でできた調理器具を使う必要があり、サイズも12〜26cm程度で形状も底が平らでなくてはならないという制限があります。
よって、多層鍋(鍋底に磁石がつかないもの)や土鍋、銅やアルミなど非磁性金属鍋、セラミック製の鍋や耐熱ガラス製などの調理器具、中華鍋などの鍋底が湾曲した調理器具はIHコンロで扱うことができないようになっています。
ただ、IHコンロにはオールメタル対応のものがあり、これはほとんどの鍋が使用できます。
なかなかややこしい話になってしまいましたが、IH対応調理器具をご購入される際には、一般財団法人製品安全協会のSGマークやメーカー記載のIH対応の表示をご確認していただくと心配ございません。
4.停電時に使えない
当たり前ですが、IHは電気を使うので停電時に使用できません。
台風や地震などの災害による停電は復旧に長い時間を要することも多く、その間は料理を作るのは難しいです。
5.鍋ふりに向かない
IHコンロはは調理器具が直接プレートに触れていないと熱を伝えることができません。
この問題を解決するため、近年では光センサーなどを利用し、鍋振りができるようになっている製品もあります。
しかしこれはまだまだ発展途中で、光センサーが搭載されていない機種が多いのが現状です。
6.使用後の天板に注意
IHコンロは火が発生する心配はないものの使用直後の天板は高熱になっていますし、見た目ではその熱さを判断しづらいという欠点もあるので十分な注意が必要となります。
うっかり天板に触れてしまうと、火傷してしまう危険性があります。
使用していない際にコンロにフタができるタイプのものもございますので、ご高齢の方やお子様、ペットなどがいらっしゃる家庭にはおすすめです。
7.昼間の使用量が多いと電気代が不安
ガスのメリットでも説明した通り、電気代は昼間は割高になってしまう場合が多くございます。
お昼に料理をすることが多いと、昼間の電気代が高くなりやすいかもしれません。
ちなみに、IHの電磁波が健康に悪影響を及ぼすという言説がございます。
これに関しては、確かに電磁波自体は発生しているものの、IHコンロから発生する電磁波は国際基準で定められた安全基準の数値を大きく下回っているため、体に悪いという考えは下火になってきているようです。
以上のように、IHコンロとガスコンロのメリット・デメリットを解説いたしましたが、どちらも一長一短ありますし、最新の機種はガスコンロもIHコンロも優れた機能を持つものが多く、両者の性能にほぼ大差はないでしょう。
つまり、一概にどちらが優れていてどちらが劣っているということはなく、それぞれ向き不向きがあるので、ガスかIHどちらがいいかは使い方次第、という印象です。
ガスかIHか、どちらにすればよいか迷った際には、ご自身のライフスタイルをイメージして検討していくことが大切です。
例えば修理・交換やリフォームなどの場合、バラバラにするよりなるべくキッチン全体をまとめてリフォームした方が費用が抑えられる傾向があるようです。
ついでにオール電化にすれば光熱費を抑えられる可能性もあります。
オール電化にした場合、家庭のエネルギーを全て電気でまかなうことになります。
電気料金がアンペア契約の場合はアンペア(A)をあげる必要があり、電気の基本料金が上がる一方、ガス契約を解約するのでガスにかかっていた料金がなくなります。
【コスト】
コスト面から考えてみると、ランニングコストは安い順に都市ガス、IH(夜間)、プロパンガス、IH(昼間)となっています。
電気代が割高な昼間に調理することが多いご家庭はIHを使うことで電気料金が高くなる場合がありますが、他に比べて割高なプロパンガスの供給地帯で、かつ頻繁にお料理をされる場合、ガスコンロにかかるガス代は見過ごせないかと思われます。
このことから、ランニングコストに関してはどちらかがずば抜けて優れているということもなく、決定的な差はないと思われます。
導入コストに関しては、もちろん機種によりけりですが、一般的にはガスコンロの方が割安であるようです。
【交換にかかる費用】
・製品代はIHの方が高い
IHコンロは電気で火力を制御するために複雑な回路が必要になるので、比較的簡単な構造をしているガスコンロに比べ、コンロの製造にかかる費用がそもそも違います。
ただ、ガスコンロの中でも最上位モデルになると、自動調理機能を含めた多彩な機能が搭載されているので、IHコンロと価格がさほど変わらないものもございます。
とはいえ、価格帯としてはガスコンロの方が全体的に製品価格は抑えられているようです。
・ガスコンロからガスコンロへの交換
既存のガスコンロを新しいものに交換する場合、2万円前後の工事費がかかります。
ガスコンロ本体は1万5千〜16万円くらいなので、トータルの料金は3万5千〜18万円程度かかります。
・IHからIHへの交換
既存のIHコンロを新しいものに交換する場合、1万5千円前後の工事費がかかります。
本体価格が4〜20万円が相場なので、トータルの料金は5万〜21万5千円程度かかります。
・ガスコンロからIHへの交換
ガスコンロを使用していたキッチンでIHコンロにリフォームする場合、5万円前後の工事費がかかります。
IHを使うためには200Vの電源が必要になりますが、元々キッチンに設置されていないという家庭が多いため、電源の増設工事も発生し、値段が高くなる場合もあります。
このため、トータルの費用は9〜25万程度になると見ておくのが良さそうです。
・IHからガスコンロへの交換
次にIHコンロからガスコンロへ交換する場合ですが、ガス管の有無などによって工事費用が変わるのではっきりとした相場がありません。
元々ガスコンロだった家を一度IHにリフォームし、またガスに戻すという場合、大抵ガス栓が残っていることが多いです。
しかし最初からIHを使っていた住宅の場合はガスの配管工事だけで10万円は支払うことになり、トータル費用がかなり高額になります。
まずは見積もり依頼・現地調査をした上で、予算の相談をしてから決めましょう。
いずれの場合も、本体価格によってトータルの費用が大きく変動します。
製品によっては自動消火や、火加減を調節してくれるおまかせ調理機能など、さまざまな機能がついていますので、どういった機能が必要なのか、機器のグレードを十分に理解した上でリフォームすることが大切です。
結論としてはケースバイケースで、それぞれの生活にあったコンロ選びをする必要があるということです。
この2つがどういった方におすすめかといいますと↓
・直火で調理したい、2口以上同時に強火で調理したい、昼間に調理したいという方にはガスコンロ
・できるだけお手入れを楽に済ませたい、子供やペットがいるので安全性が高い方が良い、夜や早朝に料理することが多いという方にはIHコンロ
がおすすめです。
また、「どうしても迷っちゃう!」という方や、「リフォームしたいけど予算がない…」という方には卓上コンロがおすすめです。
卓上コンロはダイニングテーブルで直接鍋や焼肉などをする際にも便利なので、保管場所さえ確保できればかなりおすすめの品となっております。
まとめ
今回は「ガスコンロとIHコンロ、結局どっちがいいの?」というテーマで解説させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。
やはりどちらにも魅力がありますので、自分の生活様式を振り返ってみてじっくり検討する必要があります。
現在ガスコンロを使用していてIHへの切り替えを検討していらっしゃる方は、一度卓上コンロを購入してみて、IHの感覚を掴んでみるのもいいかもしれません。