瑕疵物件とは、俗に言う訳あり物件のことを指します。
訳あり物件と聞くと、不安になる方も多いのではないでしょうか。
しかし、一言に訳あり物件と言っても、大きく4種類に分けられます。
そこで今回は、賃貸物件における瑕疵物件とは何かについてご説明したうえで、物理的・心理的瑕疵についても解説します。
瑕疵内容について把握したうえで、お部屋を検討すると良いでしょう。
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瑕疵物件とは、取引対象となった不動産に対し、当事者が予想していない法律的・物理的・心理的な瑕疵があった場合の物件のことです。
読み方は「かしぶっけん」と読みます。
簡単に言うと、「訳あり物件」ということになります。
瑕疵とは、本来備えておかなければならない品質や機能、性能、状態に対し、欠陥・欠点・不具合があることを言い、入居者にとってマイナス要因となることは否めません。
たとえば、土壌が汚染されていたり、耐震強度の不足などが発見されたりした際は、瑕疵となる可能性が大きくなります。
不動産の売買契約締結時に発見されていなかった瑕疵が、一定期間内に発覚した場合、借主は貸主に対し「契約不適合責任」が追求できます。
このように、知らないまま契約を締結した場合、トラブルの原因にもなりかねないため注意が必要です。
契約不適合責任とは
2020年3月31日の民法改正がおこなわれる前までは、対象物件に対し隠れた瑕疵があった場合に、貸主は借主に対して責任を負う「瑕疵担保責任」が定められていました。
しかし、2020年4月1日に改正法が施行され、隠れた瑕疵であるかどうかは問わないという決まりになりました。
その代わり、契約履行までに生じた瑕疵については、契約内容に適合しない内容に対し貸主が借主に責任を負う「契約不適合責任」が適用されます。
契約不適合責任によって、貸主の責任は重くなりますが、借主側の立場としては、契約内容を把握していれば安心して物件が購入できるようになります。
ただし、不適合が発覚した場合に、損害賠償などを貸主に請求するには、不適合が見つかった日から1年以内に通知することが原則です。
種類
瑕疵物件にはどのような種類があるのでしょうか。
大きく分けると「物理的」「心理的」「法的」「環境的」の4つに分類されます。
これらのうち、物理的瑕疵物件と心理的瑕疵物件については後述、具体例を踏まえながらご説明します。
賃貸物件における物理的瑕疵物件とは
まずは、物理的瑕疵物件についてご説明します。
物理的瑕疵物件とは、物理的に重大な欠陥がある土地や建物のことを言います。
たとえば土地の場合は、地盤が歪んでいる、地盤沈下、極端に立地条件が悪い、地中に障害物や埋設物がある、土壌汚染などが主な例です。
一方、建物の場合は、雨漏り・ひび割れ、シロアリ・アスベスト、床下浸水、耐震強度が基準を満たしていないなどが挙げられます。
瑕疵の見分け方
物理的瑕疵物件は、目に見えるものであるため、比較的わかりやすい傾向にあります。
たとえば、雨漏りやひび割れであればすぐにわかるでしょう。
また、プロに依頼して建物調査・土地の使用履歴を確認することで瑕疵を調べることができます。
不安な場合は、一度依頼してみると良いでしょう。
告知義務がある
物理的瑕疵物件の場合、貸主は契約時に重要事項として借主に説明しなければなりません。
口頭での説明はもちろん、書面での添付も義務付けられています。
告知期間に関しては、物理的瑕疵があり続ける限り継続されますが、リフォームによって解消された場合は告知する必要はなくなります。
告知されなかった場合
告知義務があるにも関わらず、借主に告知されなかった場合は契約不適合責任によって、貸主に対し契約解除や損害賠償を請求できます。
一方、契約不適合責任は貸主と借主が合意していれば、貸主の責任が免責されます。
たとえば、雨漏りの瑕疵がある物件に対し、入居時に説明を受け借主も納得のうえで入居した際は、雨漏りについて責任を追求することはできません。
しかし、貸主が知っていたにも関わらず、借主に告知していなかった瑕疵については契約不適合責任の免責はできないようになっています。
物件を契約する際は、売買契約書や重要事項説明書に瑕疵について記入する欄があるため、きちんと確認しておきましょう。
賃貸物件における心理的瑕疵物件とは
続いては、心理的瑕疵物件についてご説明します。
心理的瑕疵物件とは、借主が心理的または精神的問題によって苦痛を感じる可能性がある物件のことを言います。
簡単に言うと、いわゆる「事故物件」です。
心理的瑕疵は、受け止める側の主観によって左右されるため、明確な基準が定められているわけではありません。
事件や事故によって死者が出た物件でも気にしないという方がいれば、近所の施設によって怖い思いをしているという方もいるからです。
主な例
ここでは、心理的瑕疵物件として認められている主な例を4つご紹介します。
1つ目は、事件や事故によって物件内で亡くなったケースです。
事件や事故によって死者が出た物件や、自殺者が出た物件では心理的瑕疵のなかでももっとも多い例として挙げられます。
一方、ごく自然な病死や自然死の場合は認められていません。
ただし、自然死であったとしても、死後すぐに発見されず害虫やにおいが発生していた場合は認められる場合もあります。
基本的には、「特殊清掃」が実施された場合は心理的瑕疵物件と認められることが多くあります。
2つ目は、事件や事故によって周辺で亡くなったケースです。
同じ室内でなかったとしても認められる場合があります。
マンションの向いの部屋や隣室で発生した場合などが該当します。
3つ目は、周辺に嫌悪施設があるケースです。
嫌悪施設とは、多くの方が敬遠するような施設のことを言います。
刑務所やお墓、原子力発電所などが多く、ほかにも心霊スポットなど科学的根拠がない場合でも認められることがあります。
4つ目は、周辺に指定暴力団などの事務所があるケースです。
物件の周辺に指定暴力団などの反社会的勢力の事務所がある場合も認められています。
しかし、場所が公にされていないため、周辺にあっても気付かない場合も少なくありません。
告知義務がある
死者が出た場合はもちろん告知義務が発生しますが、どの段階から告知義務が発生するのかは判断基準が定められていないため難しいところです。
過去の判例を見ると、自殺・殺人・不審死・変死・焼死・死亡から長期間経過後に発見された場合は告知義務があります。
一方、室内で体調を崩し病院で死亡、勤務中の事故、自然死後すぐに発見、マンション屋上からの飛び降り自殺などに関しては、告知義務は生じないとされています。
では、告知義務が必要な物件ではいつまで告知が必要なのでしょうか。
告知義務の期間に関しては2つの考え方があります。
1つ目は、発生からの経過年数で考えるケースです。
たとえば自殺発生後、賃貸では3年程度、売買では6年程度経過するまで告知しなければならないとされています。
2つ目は、発生からの入居者変更や転売で考えるケースです。
賃貸物件では自殺発生後の入居者が退去、売買物件では事故物件の購入者が転売する際に告知義務がなくなると考えられています。
まとめ
当事者が予想していない法律的・物理的・心理的な瑕疵があった場合の物件を瑕疵物件と言います。
そのうち、物理的瑕疵は物理的に重大な欠陥があることで、心理的瑕疵は心理的または精神的問題によって苦痛を感じる物件のことを言います。
それぞれに告知義務があり、告知されなかった場合は契約不適合責任の追及が可能です。
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