北向きのバルコニーは本当に洗濯物が乾きにくいのか
検証開始
左:Tシャツ 右:タオル
ちなみに、乾いた状態のタオルの重さを量ると47gでした。
一方、Tシャツは212gでした。
それではこの2組を同じだけ濡らし、重量をそろえていきます。
……何この絞り方!?
濡らしたタオルの重量は、174gでした。
もう一方のタオルも174gにそろえます。
続いてTシャツ
こちらは558gでした。
こちらも、もう一方のタオルを558gにそろえます。
それではこれらをそれぞれ北向きと南向きのバルコニーに干していきます。
こちらは北向きのバルコニーです。
このように、ほぼ真北を指しています。
同じように南向きのバルコニーにも干します。
前に建物がありますが、太陽光は十分入ってきます。
このように、ほぼ真南向きです。
少し雲で太陽が翳っているのが不安要素ではありますが、しばらくすれば出てきそうです。
2023年9月4日(月)、天気予報の予想気温は35℃。
9月に入ってもなお30℃を超える気温の続く2023年の残暑は、びしょびしょのタオルとTシャツをどこまで乾かしてくれるのでしょうか。
それでは、現在時刻は14:01ですので、15:01まで待つことにします。
上が南向き、下が北向きのお部屋です。
やはり、南向きの方がよく太陽が当たっているのがわかりますね。
一方で、画像ではわかりづらいですが北向きの方が風が強めに吹いています。
待っている間にカフェで小休憩。チョコフラッペを堪能しました。
甘くてつめた〜い!中西もニコニコしています。
さて、そうこうしているうちに15:01になりましたので、タオルとTシャツを取り込んでいきましょう。
まず北向きのバルコニーから。触った感じ、まだ結構湿っています。
続いて南向きのバルコニー。結構日が当たっているので乾き具合に期待できそうですが、触ってみた感じ、こちらもまだ結構湿っているようです。
さて、タオルとTシャツを取り込みましたので、早速重さを量っていきましょう。
まずは北側から。
重さは98g!
濡れた状態が174gだったので、約76g分の水分が抜けたようです。
1時間で半分弱の水分が抜けたということが驚きですね。恐るべし夏の暑さ…
Tシャツはどうでしょうか。
こちらは410gということで、濡れた状態の558gから148g分の水分が抜けました。こちらは4分の1ほど抜けたんですね。
ということで日当たりの悪い北向きのバルコニーでも1時間でかなり水分が抜けていることがわかりました。
南向きのバルコニーはどうなっているのでしょうか。量ってみましょう。
!?
まさかの115g…北向きバルコニーのものよりも17g重いという結果になりました。
Tシャツも見てみましょう。
こちらは431g。北向きは410gだったので北向きバルコニーのものより21g重いという結果になりました。
タオルもTシャツもどちらとも南向きバルコニーに干した物の方が20gほど重い(=含んでいる水分が多い)という意外な結果が出ました。
これは北向きの方が風通しが良かったからかもしれません。
冒頭ご紹介した動画を見ていただくとよくわかるのですが、南向きのバルコニーに比べ、北向きのバルコニーは洗濯物が風によく揺れていました。
もちろん両部屋ともエアコンは切っているので室外機の風などの不平等な条件はありません。
これらのことからわかるのが、一概に南向きの方が条件が優れているとはいえないということです。
今回のように日が差していても風の具合で北向きのように日当たりの悪いお部屋でも洗濯物がよく乾くことはあり、南向きだから絶対に洗濯物が早く乾く、ということはないわけです。
注意点
基本的にマンションの物干し竿は安全性や景観保護の観点から低い位置に設置されていることが多く、日が当たりやすいといってもその恩恵を100パーセント受けにくいという可能性があります。
このように
加えて、ベランダやバルコニーは緊急時の避難経路としても使用されます。
このため、ベランダやバルコニーは借主の専有部分ではなくマンション側の共用部分として扱われます。
(ちなみにベランダは屋根があるもの、バルコニーは屋根がないもののことを指します。)
このため、バルコニーは原則として改造が禁止されています。
それだけでなく、物件によっては洗濯物の干し方や干す場所にルールが課せられていたり、そもそもベランダやバルコニーに物を置くこと自体が禁止されている場合があります。
つまり、南向きの部屋であったとしても、干した洗濯物に対して十分に日が当たらない場合もあるのです。
各方角向きの部屋
お部屋の向きは南向きが1番良いと言われることが多いですが、南だけが良いと決めつけるのはもったいないことで、しっかりとお部屋の特徴を掴むことが大切です。物件によって特徴はかなり変わってきますが、参考までに一般論としての各方角のメリット、デメリットを見てみましょう。
【南向きのメリット】
・日当たり→場合によりますが、基本的に明るさと乾きやすさが1番高いのは南向きのお部屋でしょう。冬でも日光が差し込んで暖かいですし、カビも生えにくくなります。
【南向きのデメリット】
・日当たり→もちろん冬が暖かいとなれば夏場は暑くなります。さらに室内の物が日焼けして色褪せてしまったり劣化してしまう場合もあります。カーテンは厚めの物やUVカットの物などを選ばないと後悔することも。
・家賃→やはり人気の南向き。どうしても家賃が高くなってしまう傾向にあるようです。
【東向きのメリット】
・朝日が差し込む→朝日を浴びて寝覚めスッキリ。朝日を浴びることで体内時計の乱れがリセットされたりストレスが軽減されたりします。ガーデニングされる方にもおすすめですね。昼間は直射日光が入らないので夏でも涼しめです。
【東向きのデメリット】
・朝眩しい→夜職の方や夜型の生活を送っていらっしゃる方は東向きのお部屋は辛いかもしれません。朝日を遮る手段を考えておかないとまだ寝ていたいのに眩しさで目が覚めてしまうことも。
【西向きのメリット】
・冬は夜まで暖かい→西陽が差す西向きのお部屋は、夜まで暖かい空気が保たれますので冬場でもお部屋が快適です。遅めの時間に洗濯物を干しても比較的乾きやすいのも利点ですね。
【西向きのデメリット】
・夏は西陽が強い→夏場の西陽は部屋の奥の方まで差し込みます。場合によっては南向きのお部屋よりもさらに眩しさや暑さを感じやすいかもしれません。
【北向きのメリット】
・日が直接差さない→家の中の物が日焼けしにくかったり、強い直射日光ではなく柔らかな光が差すこと、夏場でも比較的涼しいことが北向きのお部屋のメリットです。
・ルーフバルコニーがあることが多い→マンションによっては、周辺の日照の確保のために建物の北側を階段状にしていることがあります。ここの階段状になったところを利用してルーフバルコニーが設置されることが多いのですが、階下の屋根を利用したルーフバルコニーは通常のバルコニーよりも広い面積を有しています。このため、洗濯物も乾きやすいことが多いです。
・家賃が安い→北側はあまりよくないイメージを持たれる方が多いこともあり、家賃も安めに設定されている傾向にあります。
【北向きのデメリット】
・バルコニーがお見合いする可能性→日本の住宅はバルコニーが南向きに設置されていることが多く、北向きのバルコニーの場合、隣の建物のバルコニーから真正面で見えてしまう可能性もあります。
・日当たりが悪い→日光が直接差すことが少ない北側のバルコニーは、他に比べて暗くなりがちです。また、冬は寒くなったり洗濯物が乾きにくいとも言われています。
各方角向きのお部屋には以上のような傾向があります。あくまで「こういった傾向がある」という話ですので、その時々の環境や状態によって今回の検証のようにイメージが覆る事象が起こることも少なくはありません。
ですので、あまり方角にこだわりすぎず、柔軟にお部屋の特徴を掴むことが大切です。内見の際にはバルコニーの広さや風の通りやすさ、日光の差し具合など、しっかりとお部屋、そしてバルコニーの使いやすさを見るようにしましょう。
洗濯物を早く乾かすには
洗濯物の乾きやすさには、風が重要です。
風の通り道を作ることで洗濯物の乾きやすさが格段にアップします。
室内干しでも風を送りつつ除湿すれば素早く乾かすことができます。
工夫次第では日当たりが悪くても洗濯物を効率的に乾かすことができるのです。
まとめ
今回は北向きのバルコニーは本当に洗濯物が乾きにくいのか?というテーマでお話ししましたが、いかがだったでしょうか。
検証の結果としては、南向きのバルコニーは洗濯物が乾きやすいという従来のイメージが覆る結果になりました。
一般的には南向き、次いで東向きが良いとされていますがそれぞれの方角にそれぞれの特徴がありますし、物件ごとにも特徴がそれぞれあるので、しっかり見極めることが大切です。
固定観念に囚われすぎないことが、自分の理想の部屋を見つける第一歩なのかもしれませんね。